クルマの安全の鍵は、タイヤが握っているとも言えます。せめて年に一度はよーくタイヤのチェックをしてみてください。
深さが半分→要注意!
タイヤのチェックでまず気をつけたいのが溝の深さです。タイヤの溝は、特に雨の日のブレーキ性能に大きく関係します。
タイヤは回転しながら、接地した部分の「溝」を通して遠心力で後ろに水を排出することで路面にしっかりと接地するようにできています。だから「十分な溝の深さ」はとても大切なんです。
● タイヤの溝の計り方
あなたの愛車のタイヤの溝が、新品の時は何ミリの深さか知っていますか?わからない方は、タイヤカタログなどでチェックすることもできますよ。車種にもよりますが、タイヤの溝はセダン→8ミリ前後、ミニバン→9ミリ前後あります。本来の溝の深さを確認したら、まず愛車のタイヤの溝を計ってみましょう。
タイヤの溝を計るための「ゲージ」という器具もありますが、これがなくても大丈夫。
タイヤの表面に垂直になるようにマッチ棒やつま楊枝を溝に入れて、印をつけます。その長さを計るだけ。その時、溝がもとの深さと比べて半分以上残っていれば赤信号ではありません。
● どうして「半分」が目安なの?
タイヤの溝が浅くなると、水を排出する性能が劣ってきます。グラフ1をご覧ください。
グラフ1
タイヤの溝の深さと制動距離の関係
これは時速80kmで走行している時、溝が浅くなるにつれてどれだけ制動距離(※3)が、伸びてくるのかを示しています。
タイヤの溝がほぼ半分摩耗した状態を境に、制動距離がぐんと長くなるのがわかります。各種の実験から、タイヤの溝が60%摩耗すると、制動距離が20%も伸びてしまうこともわかっています。
国の省令で、タイヤの溝は「1.6ミリ」が限度と定められています。この数値は、決して「1.6ミリになるまでは安全」ということではなく、「1.6ミリをきると違法」ということなので、注意!
安全性能は溝が浅くなればなるほど低くなります。賢いドライバーは溝の深さが半分になるとタイヤを交換するといいます。何よりも安全のためですからね。
● 乗り心地も変わる!
そしてもうひとつ。溝が浅くなれば、タイヤノイズも大きくなり、乗り心地も悪くなります。溝は少しずつ減るため気づきにくいのかもしれませんが、たまには意識的にチェックしましょう。
● いろんな溝の深さをチェック
タイヤには主だった溝が3〜4本あります。できればその全ての溝の深さを調べてください。基本的にタイヤの溝の深さは、そのタイヤの中で最も浅いところを基準に考えるからです。
また、「肩減り」などの偏摩耗の発見にもつながります。車種やサスペンションの具合によって、タイヤの外側が摩耗しやすい場合もあれば、逆に内側が摩耗しやすいクルマもあります。空気圧が低ければ両肩が、高過ぎれば中央が摩耗しやすくなります。
また急ブレーキなどで、局所的に摩耗する「スポット摩耗」が起きているかもしれません。
「カット」と「クラック」
タイヤをチェックする上で、溝のほかに忘れてはならないのが、カットとクラックです。これらはクルマを走らせているだけではわかりません。
● タイヤの外傷「カット」
なんらかの異物によってタイヤが受けた傷をカットといいます。カットはタイヤの内側に起こることは少なく、たいてい外側です。特に左前のタイヤ、次に左後ろのタイヤの外側にカットが生じる可能性が大きいのです。
駐車する時に路肩にタイヤをこすりつけたことがありませんか。それがカットの原因になることもあります。路肩のブロックがずれていたりすると、大きな外傷になることも!もしカットが見つかったら、ガソリンスタンドやカーショップなど、専門店で点検してもらうことをおすすめします。
● タイヤのひび割れ「クラック」
タイヤの寿命は一概には言えませんが、あまり走らせていないタイヤでも経年変化によってゴムの劣化が起こるのは避けられません。目に見えてわかるのが、ゴムのひび割れ。クラックと呼ばれているものです。
クルマの重みでたわむ、タイヤ側面の下の方にクラックが見つかるかもしれませんが、多少のクラックはあまり心配する必要はないでしょう。クラックが目立って多いとしたら、タイヤの寿命が近づいているのかも。専門店でチェックを受けましょう。
タイヤ美化剤・保護剤を使う時には
「さあ、タイヤのチェックは終了。ついでにタイヤもきれいにしてあげよう」と思った方、ちょっと気をつけてください。
タイヤを洗剤で洗ったりしていませんか?また、つや出し剤などのタイヤ美化剤・保護剤といったものの中には、かえってタイヤの劣化を招いてしまうものがあるんです。
タイヤにもともと含まれている老化防止剤は、徐々に表面に出てきて、クラックを防止しています。
ところが、タイヤ美化剤・保護剤の中には、その老化防止剤を流れ落としてしまうものがあるんです。そこで、こうした理由から洗剤を使うこともおすすめできません。
タイヤは水やブラシで、ほこりや汚れを落としてきれいにしてあげてください。
そのほうがタイヤくんもきっと喜んでくれるはずですよ♪
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